旅の時間には、どうしても「空白」が生まれます。
新幹線の車窓、空港の待合、ホテルでの夜。スマホを開けば無限に情報は流れてくるが、どれも浅く、心に残りません。
そんな時間をもう少し丁寧に使えないかと思い、試しにKindle Unlimitedを導入しました。
月額980円で200万冊以上が読めるという定額制の読書サービスです。
「移動の暇つぶし」になればいいくらいの気持ちだったが、気づけば一年以上使い続けています。
結果として、旅の“質”そのものが変わりました。
本を持たない軽さ。読書をいつでも再開できる安心感。
そして、何よりも「移動時間が自分に返ってくる」感覚。
この記事では、Kindle Unlimitedを一年使って見えてきた“旅との相性”を中心に、その実感を整理していきます。
サービスの比較でも、機能の解説でもありません。
――これは、「旅の移動時間をどう過ごすか」という問いに対する、レビューを通した私なりのひとつの答えです。
この記事を読んでわかること
- Kindle Unlimitedを「旅の相棒」として使ったリアルな感想
- 移動時間・持ち物・読書スタイルがどう変わるか
Kindle Unlimitedの概要

Kindle Unlimitedは、Amazonが提供する電子書籍の読み放題サブスクリプションサービスです。月額980円で対象のKindle本を自由に読むことができ、ビジネス書から小説、漫画、雑誌まで、さまざまなジャンルの本を楽しめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供元 | Amazon.co.jp |
| 月額料金 | 980円(税込) |
| 対象冊数 | 約200万冊以上(随時入れ替え) |
| 対応端末 | Kindle端末・スマートフォン・タブレット・PC |
| ジャンル | ビジネス書・小説・実用書・雑誌・漫画・洋書 など |
| 特徴 | 読み放題ラインナップは毎月更新。オフライン閲覧可。 |
Prime Readingと比べると、Kindle Unlimitedは対象冊数が多く、更新頻度も高いです。そのため、いつでも新しい本と出会える一方で、気になっていた作品が突然対象外になることもあります。
和書だけでなく洋書のラインナップも充実しており、普段は読まないジャンルを試しやすい点も魅力です。多読派の方にとってはコストパフォーマンスが高く、読書の幅を広げるきっかけになります。ただし、最新刊や人気作の多くは対象外のため、読みたい本が含まれているかを確認しながら利用するのがポイントです。
移動時間が変わった瞬間

Kindle Unlimitedを使い始めてから、旅の時間の過ごし方が大きく変わりました。特に新幹線やホテルでの夜など、「手持ち無沙汰な時間」が静かな読書の時間に変わった感覚があります。
新幹線ではWi-Fiが不安定なことも多く、通信が切れるたびにスマホを閉じて窓の外を眺めていました。通路側の席では景色も見えず、何度も同じ区間を移動していると次第に飽きてしまう。結局、なんとなくSNSを眺めるだけで時間が過ぎていくことが多かったと思います。
※補足:新幹線を含む公共Wi-Fiはセキュリティが脆弱な場合があり、個人情報の盗み見(ショルダーハッキング)などのリスクがあります。メール送信や業務データの閲覧などは避けたほうが安全です。
ホテルでの夜も同じでした。出張時はYouTubeを流しながら何となく過ごし、観光旅行でもお酒を飲んで寝るだけ。どちらも悪いわけではありませんが、振り返ると「時間の主導権」をどこかに預けていたように感じます。
特に動画サービスは、視聴の主導権がアルゴリズムにあります。私たちは「選んでいるつもり」で、実際は次々に表示されるおすすめ動画を受け身で消化しているだけ。情報は入ってくるのに、思考が残らない。この感覚に、少し疲れを覚えました。
その点、読書は最初から最後まで自分が選んだ内容に向き合う行為です。受け身ではなく、自分のペースで進められる。旅先でも、その時間が心地よい集中をもたらしてくれました。Kindle Unlimitedを使い始めてから、YouTubeで過ごしていた時間が自然に読書へ置き換わりました。
実際に使って感じた主なメリットは次のとおりです。
- あらかじめ本をダウンロードしておけば、オフラインでも読書ができる
- 読みかけの位置からすぐに再開できるため、短い移動中でも便利
- スマホやタブレット1台で複数冊を持ち歩けるため、荷物が減る
旅先の移動や滞在の時間をどう使うか。その答えの一つとして、Kindle Unlimitedは非常に相性の良いサービスだと感じています。
オフラインの読書
Kindle Unlimitedでは、あらかじめ書籍をダウンロードしておくことで、オフライン環境でも読書を楽しむことができます。移動中に通信が途切れても問題なく読み進められるため、旅先や機内でも安心です。
書籍データは動画と比べて容量が小さく、10冊前後を保存しても1GBに満たない程度です。上限を試したことはありませんが、15冊ほどダウンロードしても快適に利用できました。移動時間を考えれば、この程度の冊数で十分です。
速読や“ながら読み”を意識せず、1冊を丁寧に読むスタイルであれば、小説が最も相性が良いでしょう。文庫本換算で10万字前後の作品なら、平均的な読書速度(1分あたり約1,000字)でおよそ1.5時間。東京〜新大阪の往復で3冊ほど、長距離フライトなら5〜6冊を楽しめる計算です。
ただし、ダウンロードを忘れてしまうと現地で読めません。旅行の持ち物リストに「□ Kindleで読む本」と一行追加しておくと安心です。
再開のしやすさ
Kindle Unlimitedは電子書籍サービスのため、アプリが自動的に「どこまで読んだか」を記録してくれます。栞を挟み忘れることも、読んだ位置をメモし忘れることもありません。
新幹線が到着する直前にアプリを閉じて荷物をまとめ、後で再び開けば、すぐに前回の続きから再開できます。スマートフォンであれば通勤中などの短い隙間時間でも利用でき、混雑した電車内でも片手で読書を続けられます。
私はiPadを使っていますが、スマホでも同期されるため、デバイスを問わず読書を続けられるのも魅力です。出張や旅行など、場所が頻繁に変わる人ほどこの手軽さを実感できると思います。
荷物が減る
紙の本を持ち歩く場合、文庫本でも1冊あたり約150g。ペットボトル飲料1本分に相当します。複数冊を持つと、リュックやスーツケースの中で意外とかさばります。
一方、Kindle Unlimitedならスマートフォンやタブレットにアプリを入れるだけ。荷物が増えることはなく、追加の重量もゼロに等しいです。特に旅行や出張では、限られた荷物の中で快適さをどう確保するかが重要です。
紙の本には「読んでいる感」や記憶への定着性という魅力があります。しかし、移動を伴う旅行では、利便性と軽さのほうが優先される場面も多いでしょう。電子書籍であれば、どこでも好きな本を開ける。お土産を入れるスペースを気にする必要もありません。
旅の荷物を軽くしつつ、時間の質を高める。その両立を叶えてくれるのが、Kindle Unlimitedの一番の魅力だと感じています。
持たない読書という選択

近年、サブスクリプションサービスが一般化し、「所有」から「アクセス」への流れが加速しています。Kindle Unlimitedはまさにその象徴的な存在です。利用者は月額980円を支払い、読み放題対象の200万冊以上にアクセスする権利を得ます。
ただし、ダウンロードしても書籍の所有権はAmazon側にあり、利用者の手元に残るわけではありません。読み終わった本が自分の書棚に並ばないのは少し寂しいと感じるかもしれません。
とはいえ、読み終えた本をすべて保管しておけるだけのスペースが、現実的にどれほどの家庭にあるでしょうか。100冊程度ならまだしも、数年も経てば書籍は増え続け、整理や保管に手間がかかります。読書を日常習慣としている人ほど、この問題には早く直面します。
書斎に本棚を並べることに憧れる人も多いでしょう。私も例外ではありません。しかし、限られた空間やライフスタイルの中で、必要なものを取捨選択することも一つの知性だと思います。Kindle Unlimitedは、そうした“現実との折り合い方”をうまくサポートしてくれる仕組みでもあります。
読書履歴を残す工夫
読んだ本を記録しておきたいという気持ちは自然なことです。Kindleアプリでも「読書の詳細情報」から履歴を確認できますが、すべての書籍が一覧化されるため、軽く読んだ雑誌や漫画も同列に並んでしまいます。さらに、感想やメモを付ける機能も基本的にはありません。
そのため、私は独自の「読書管理シート」を作成し、どんな本を読んだか、どんな印象を持ったかを記録しています。iOSのショートカットアプリとGoogleスプレッドシートを連携させ、読み終えた直後に簡単に記録できる仕組みです。旅行先でも数タップでメモを残せるため、継続しやすくなりました。
ホーム画面にショートカットを配置しておけば、思い出したときにすぐ入力できるのも便利です。「本のサイズを減らし、記録を自動化する」──この仕組みを作ってから、読書と記録の両立がずっと楽になりました。
簡単にショートカットの内容を載せておきます。
参考にしたのは、次のサイトになります。
iPhoneのショートカットでスプレッドシートにデータを送った話|さなさなさん
私の場合、記録内容は
・タイトル
・著者
・ジャンル
・開始日
・終了日(記録日)
・星
・メモ
になっています。





紙の本とのバランス
もちろん、気に入った本や大切に手元に残したい作品は紙で購入すればよいと思います。Kindle Unlimitedの対象は雑誌を除けば新刊が少なく、電子書籍そのものも出版社の方針によっては配信されていない場合があります。
また、著作権や販売ルールの都合で、Kindleアプリから直接購入できません。そうした場合は、AmazonのWebサイトや紙媒体で購入するのが確実です。
電子書籍と紙の本、それぞれに利点があります。旅行や出張などの移動中は電子書籍で身軽に、気に入った作品は紙で手元に。用途に応じて切り替えることで、読書をより柔軟に楽しめるようになります。
読書の「質」を高めるということ

旅の時間をより上質にするために、読書の「質」について考えてみたいと思います。
読書の質とは何でしょうか。多くの人は「いい本に出会えること」と答えるでしょう。私も同意します。ただし、「いい本」とは必ずしも名作や話題作を指すわけではありません。自分にとって価値がある本――これが、本当の意味での「いい本」だと思います。
その本に出会うための最も確実な方法は、意外なほど単純です。数多くの本に触れること。つまり、読む量を増やすことです。ここで、Kindle Unlimitedの「読み放題」という仕組みが活きてきます。
対象書籍であれば、気軽に読んでみて、合わなければすぐに別の本へ。購入前提の読書では難しかった“試し読みの自由”がここにあります。もし同じことを購入ベースで行えば、相当な費用がかかりますし、中古書店でもラインナップは限定的です。
Kindle Unlimitedの魅力は、この「自由に読む」環境そのものにあります。結果として、自分の好みに合う本・合わない本の傾向が見えてきたり、これまで読まなかったジャンルに出会えたりします。
「元を取る」から「時間を豊かにする」へ
サブスクサービスでは「元を取る」という考え方がよく話題になります。もちろん、支払った分の価値を求めるのは自然なことです。Kindle Unlimitedはコストパフォーマンスという観点でも優秀なサービスですが、ここでは少し視点を変えてみたいと思います。
このブログのカテゴリーは「上質な旅と宿泊体験」。つまり、“時間の質”をどう高めるかが主題です。読書においても、単なるコスパではなく「時間を豊かにする」という発想で考えると、Kindle Unlimitedの価値はより明確になります。
例えば、毎月入れ替わる書籍の中から、気になったものをいくつかダウンロードしておきます。Amazonのおすすめ機能に任せて新しい本を探すのも一つの方法です。気軽に試し、気に入った本があれば旅の途中でゆっくり読み進める。これだけで、旅の時間が静かに豊かになります。
滞在中の読書という贅沢
特にホテルで過ごす時間は、読書との相性が抜群です。アメックス・プラチナカードの特典であるFHR(ファイン・ホテル・アンド・リゾート)対象ホテルのような上質な空間では、ソファやテラスで静かに本を開く時間が、滞在そのものの価値を高めてくれます。
16時のレイトチェックアウトを利用して、午後の数時間を読書にあてる。コーヒーを片手に、旅の途中で出会った本をゆっくりと読み進める――それだけで、滞在の印象が変わります。ホテルの過ごし方に「読書」という選択を加えることで、旅の“質”をもう一段階引き上げることができるはずです。
もしFHR対象ホテルの雰囲気や滞在記に興味があれば、以下の記事もあわせてご覧ください。
利用時の注意点と上手な付き合い方

Kindle Unlimitedは多くのメリットを持つサービスですが、いくつか注意しておきたい点もあります。細かい部分ではありますが、知っておくとより快適に利用できます。
毎月初めに更新がある
Kindle Unlimitedでは、毎月1日前後に対象書籍の入れ替えがあります。最近は追加される本のほうが多い傾向にありますが、一部の書籍は読み放題の対象外になる場合があります。そのため、気になる本を見つけたら、なるべく早めに読んでおくのが安心です。
体感としては、「○○特集」として取り上げられた小説や特定ジャンルの書籍、または雑誌・マンガが入れ替えの中心です。それ以外の一般書籍は比較的長期間対象に残る印象があります。
読みたい本が急に対象外になると残念ですから、旅行や長距離移動の前には、事前にダウンロードしておくことをおすすめします。
読書履歴の同期について
読書が習慣化している方にとっては、読書履歴の同期も気になるポイントだと思います。Kindle Unlimitedでは、アプリ内で読書の進捗が自動保存され、Wi-Fi接続時にサーバーと同期されます。端末が変わっても、同じアカウントでログインしていれば続きから再開できます。
ただし、完読した書籍(進捗100%)のみが読書履歴に反映されます。途中で読むのをやめた本や、試し読みで止めた本は一覧に表示されません。そのため、「このジャンルは合わなかった」「この著者の文体は苦手だった」といった情報も残しておきたい場合は、独自の記録方法を活用するのがおすすめです。
私は以前紹介した読書管理シートを使い、読了・途中離脱の両方を記録しています。旅行中でもiPhoneのショートカットから入力できるので、簡単かつ継続しやすい仕組みです。
年間プランは存在しない
Kindle Unlimitedは、サブスクとしては珍しく年間プランが存在しません。現在は月額980円のみの提供となっています。ただし、Amazon Primeなどと同様に自動更新制のため、一度登録すれば継続的に利用できます。
この月額制は「柔軟に使える」という意味ではむしろ利点です。たとえば、「来月は忙しいから一時的に退会する」「長期休暇中に集中的に利用する」といった切り替えが簡単にできます。
注意したいのは、自動更新のまま放置してしまうケースです。1冊も読まない月でも課金は続きます。980円は実用書1冊分ほどの金額ですが、利用しないなら契約を見直す勇気も必要です。逆に、定期的に本を読む方にとっては、費用以上の価値を十分に感じられるでしょう。
このように、Kindle Unlimitedは「うまく使えば非常に便利」な一方で、「知らないままに損をする」こともあるサービスです。契約の仕組みや更新タイミングを理解し、自分の読書スタイルに合わせて使いこなすことが、快適な読書生活につながります。
次章では、これまでの内容を踏まえ、Kindle Unlimitedがもたらす「旅の時間の豊かさ」についてまとめます。
まとめ|Kindle Unlimitedは旅の静かな投資

Kindle Unlimitedは、単なる電子書籍の読み放題サービスではありません。旅先での時間の過ごし方を変え、移動や滞在の「質」を高めるための一つの手段です。
新幹線の車内で、飛行機の中で、ホテルのテラスで――通信環境を気にせず、静かに本を開く時間。そこで得られるのは「情報」ではなく「余白」です。ページをめくるように時間が流れ、自分の内側が少しだけ整う感覚。それこそが、旅の記憶に深く残る体験になるのかもしれません。
紙の本を持ち歩くような充足感はないかもしれません。しかし、荷物を減らし、思考を軽くし、心の余白を持てるという点では、電子書籍には別の魅力があります。持たないことで得られる快適さ――それは、旅にも日常にも共通する価値です。
コストパフォーマンスを求めるのではなく、「時間のリターン」を意識して使う。これが、Kindle Unlimitedを上質な旅のパートナーにするための考え方です。月額980円の支払いは、情報ではなく静けさを得るための小さな投資。そう考えると、このサービスの本質が少し見えてきます。
もし次の旅の予定があるなら、移動中に読みたい本をいくつかダウンロードしてみてください。目的地に着くまでの時間が、ただの移動ではなく「思考の旅」に変わるはずです。
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