高級ホテルに宿泊する際、価格やポイント還元だけを基準に予約してしまうと、
本来そのホテルが提供している「時間的・体験的な価値」を取り逃がすことがあります。
アメリカン・エキスプレスが提供する Fine Hotels + Resorts(FHR) は、
単なる割引や最安値競争とは異なり、滞在そのものの質を引き上げることに特化したホテル優待プログラムです。
本記事では、FHRの仕組みや特典内容を整理したうえで、
「どのような人にとって合理的な選択肢になるのか」「他の予約手段と何が決定的に違うのか」を、
実際の利用経験と具体例を交えて解説します。
FHR(Fine Hotels + Resorts)とは何か

アメックスが提供する“滞在価値重視”のホテルプログラム
FHR(Fine Hotels + Resorts)は、
アメリカン・エキスプレスが選定した世界各地のラグジュアリーホテルを対象に、
宿泊時の体験価値を高める特典を付与する会員向けプログラムです。
FHR経由で予約すると、
朝食2名分無料・100米ドル相当のホテルクレジット・16時までのレイトチェックアウト確約など、
ホテル側が通常は上級会員やリピーター向けに提供するレベルの特典が自動的に付帯します。
重要なのは、これらの特典が事前登録や交渉を一切必要とせず、予約時点で確定する点です。
「当日になって交渉する」「空気を読む」といった要素はありません。
利用できるカードと前提条件
FHRを利用できるのは、以下のカード会員に限られます。
- アメリカン・エキスプレス・プラチナ・カード(本会員・家族会員)
プラチナカードの年会費は 165,000円(税込) と高額ですが、
FHRは「年会費を回収するための制度」というより、
カードの設計思想を最も端的に体感できる代表的ベネフィットと位置づけたほうが実態に近いです。
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価格や還元率だけを軸にするなら、FHRは最適解にはなりません。
一方で、滞在時間・チェックアウト後の余白・館内体験まで含めて設計したい人にとっては、
他の予約手段では代替しにくい価値を提供します。
FHRのベネフィットとは何か

FHRの特典は、単なる「付加サービス」ではありません。
滞在時間の自由度・館内体験の裁量・チェックアウト後の余白まで含めて設計された、
いわばホテル滞在の再構成パッケージです。
ここでは、実際の使い勝手と影響度を踏まえ、
体感価値の高い順にFHRのベネフィットを解説します。
① 16時までのレイトチェックアウト(確約)
FHR最大の価値は、この16時までのレイトチェックアウトが「確約」される点にあります。
通常、レイトチェックアウトは上級会員向け・空室次第・当日交渉が前提です。
一方FHRでは、予約時点で権利として組み込まれ、交渉や運に左右されません。
・午前は観光や仕事
・午後に部屋へ戻ってシャワー・休憩
・夕方にそのまま移動
この流れを追加料金なし・精神的負担ゼロで成立させられる点が、
他の予約手段では代替しにくい決定的な差です。
② 滞在中に使える100米ドル相当のホテルクレジット
1滞在につき、100米ドル相当(または現地通貨換算)のホテルクレジットが付与されます。
多くのホテルでは、以下の用途に充当可能です。
- 館内レストラン・バー
- スパ・トリートメント
- ルームサービス
重要なのは、「使わせる前提」で設計されている点です。
最低利用額の縛りや複雑な条件はなく、
結果として滞在体験の一部が自然に底上げされます。
③ 朝食2名分無料
FHRでは、毎朝2名分の朝食が無料で提供されます。
ラグジュアリーホテルの朝食は、
1名あたり5,000〜8,000円程度になることも珍しくありません。
単なる「無料特典」ではなく、
「朝食を削るかどうか迷う」という思考コストを消す点に価値があります。
④ 客室アップグレード(空室状況次第)
空室がある場合、よりグレードの高い客室へのアップグレードが提供されます。
これは確約ではありませんが、
FHRはホテル側にとっても「優先顧客」として扱われるため、
アップグレードの成功率は比較的高めです。
上級会員資格を持たずとも、
同等の扱いを受けられる点がFHRの特徴といえます。
⑤ アーリーチェックイン(最短12時/空室状況次第)
空室状況によっては、正午頃からのアーリーチェックインが可能な場合があります。
こちらは確約ではないため過度な期待は禁物ですが、
長距離移動後や早朝到着時には、体感的な価値は高めです。
⑥ 無料Wi-Fi・ホテル独自の追加特典
Wi-Fi無料提供に加え、
ホテルによってはFHR限定のウェルカムギフトやサービスが付く場合があります。
派手さはありませんが、
「特別扱いされている」という体験の積み重ねが、
滞在全体の満足度に静かに効いてきます。
FHR対象ホテル一覧とエリア別の特徴

FHRは、世界各地のラグジュアリーホテルを対象とした優待プログラムです。
対象となるのは、単に価格帯が高いホテルではなく、
サービス水準・運営体制・滞在体験の再現性を重視して選定された施設に限られます。
2025年時点では、全世界で1,000軒超のホテルがFHR対象として登録されており、
多くは各ブランドの中でもフラッグシップ、もしくはそれに準ずる位置づけのホテルです。
FHR対象ホテルの基本的な傾向
- ラグジュアリー特化:いわゆるフルサービス型高級ホテルが中心
- チェーン比率が高い:運営品質が安定しているブランドが多い
- 都市部+リゾート:首都圏・観光都市・高級リゾートに集中
- 毎年入れ替えあり:対象ホテルは固定ではなく、年ごとに更新される
FHRは「数を広げる制度」ではなく、
一定水準以上の体験を担保するための絞り込み型プログラムと考えたほうが理解しやすいでしょう。
日本国内のFHR対象ホテル
日本国内では、東京・京都・大阪などの主要都市に加え、
沖縄・ニセコ・箱根といった高級リゾートエリアを中心にFHR対象ホテルが展開されています。
以下は、2025年時点で確認できる日本国内の主なFHR対象ホテル一覧です。
※対象可否は年度・時期によって変更されるため、予約時点での確認が前提となります。
日本のFHR対象ホテル一覧(2025年時点)
- アマン東京 / アマン京都 / アマネム
- パークハイアット(京都・ニセコなど)
- フォーシーズンズ(大手町・丸の内・京都・大阪)
- ザ・リッツ・カールトン(東京・京都・大阪・沖縄・福岡 ほか)
- マンダリン オリエンタル 東京
- ブルガリ ホテル 東京
- パレスホテル東京
- ザ・ペニンシュラ東京
- ROKU KYOTO, LXR Hotels & Resorts
- Six Senses 京都
- Azumi Setoda ほか
日本の場合、首都圏・関西圏への集中度が高い一方、
地方では「その地域を代表する1〜2軒」が選ばれる傾向にあります。
海外FHR対象ホテルの分布傾向
海外では、北米・ヨーロッパを中心に対象ホテル数が多く、
特に主要都市・観光都市では選択肢に困ることはほとんどありません。
| 地域 | 対象ホテル数(目安) |
|---|---|
| アジア太平洋(日本含む) | 約400 |
| ヨーロッパ | 約600 |
| 北米 | 約500 |
| 中南米 | 約100 |
| 中東・アフリカ | 約100 |
この分布からも分かる通り、
FHRは「出張・都市滞在」と「長期バカンス」の双方に対応する設計になっています。
対象ホテルを調べる際の注意点
- 対象可否は年度更新:前年に対象だったホテルが外れることもある
- 全客室タイプが対象とは限らない:一部スイートや特別プランは除外される場合あり
- 最終判断は予約画面:検索結果にFHR特典表示があるかを必ず確認
最新の対象ホテルおよび特典内容は、
アメリカン・エキスプレスのFHR公式検索ページから確認できます。
FHRの使い方と予約手順

FHRは、通常のホテル予約と比べて操作が難しいわけではありません。
ただし重要なのは、「どう予約するか」より「いつ・どの条件で使うか」です。
ここでは、具体的な操作説明に入る前に、
FHRを使う際に押さえておくべき前提と判断軸を整理します。
予約方法は2通り|オンラインと電話
FHRの予約方法は、大きく分けて以下の2つです。
- オンライン予約:アメックス会員専用サイト/アプリから直接予約
- 電話予約:プラチナ・コンシェルジュ・デスク経由で依頼
結論から言うと、原則はオンライン予約で問題ありません。
特別な要望がある場合のみ、電話予約を使い分けるのが合理的です。
オンライン予約が基本になる理由
オンライン予約には、以下の明確なメリットがあります。
- 24時間いつでも予約可能:空室・料金をリアルタイムで確認できる
- 特典内容が可視化されている:朝食・クレジット・レイトアウトが事前に明示される
- ポイント還元率が高い:オンライン予約は原則4%還元
特にポイント還元率は無視できません。
同じFHR予約でも、電話経由では還元率が下がるため、
理由がない限りオンラインを選ぶのが基本方針となります。
電話予約を使うべきケース
一方で、以下のような場合は電話予約が有効です。
- 部屋タイプや眺望について細かい希望がある
- 記念日・サプライズなど、事前共有したい事情がある
- 予約条件が複雑(連泊・日程変更を前提とする場合など)
コンシェルジュ経由であれば、
ホテル側との調整や要望伝達を代行してもらえるため、
「失敗したくない滞在」ほど電話予約が向いています。
予約時に意識すべきポイント
- 日程に余裕を持つ:直前予約ではアップグレードや特典が効きにくい
- 価格だけで判断しない:FHRは「総体験」で評価する制度
- FHR表記を必ず確認:検索結果に特典表示があるかをチェック
FHRは「最安値を取るための制度」ではありません。
滞在全体の設計を楽にするための制度と捉えると、
使いどころを誤りにくくなります。
チェックインからチェックアウトまでの流れ
当日の流れは、基本的に通常の宿泊と変わりません。
- チェックイン時にFHR予約であることを確認
- アップグレード有無・特典内容の案内を受ける
- 朝食・クレジットの使い方を把握
- チェックアウト時にクレジット反映を確認
特別な交渉や主張は不要です。
権利として組み込まれている特典を、淡々と使う。
それがFHRの最もスマートな使い方です。
FHRのメリット・デメリット

FHRは万能なサービスではありません。
向いている人には強力な武器になりますが、
前提を理解せずに使うと「思ったより得じゃない」と感じる可能性もあります。
ここでは、実際の利用経験を踏まえ、
制度としてのメリット・デメリットを整理します。
FHRのメリット
- 16時レイトチェックアウトが確約される
└ 当日交渉やステータスに依存せず、時間の主導権を確保できる。 - 特典が予約時点で可視化されている
└ 朝食・クレジット・アップグレード条件が事前に分かり、判断が楽。 - 上級会員資格がなくても同等の体験ができる
└ チェーンホテルのステータス修行をしなくても一定水準を担保。 - 滞在体験の“失敗確率”が低い
└ 館内利用・朝食・時間設計まで含めてパッケージ化されている。 - 記念日・短期滞在との相性が良い
└ 1泊でも特典が効くため、使いどころを選ばない。
FHRのデメリット
- 最安値になるとは限らない
└ 価格だけを見れば、OTAや公式サイトの方が安い場合もある。 - 特典を使わないと価値が出にくい
└ 朝食・クレジット・レイトアウトを活用しない人には過剰。 - 対象ホテルが限られる
└ 中価格帯や地方ビジネスホテルでは利用できない。 - 短時間滞在・寝るだけ用途とは相性が悪い
└ 滞在時間が短いほど、恩恵を感じにくい。
FHRは、「安く泊まりたい人向けの制度」ではありません。
一方で、ホテルで過ごす時間そのものを最適化したい人にとっては、
他に代替しにくい選択肢になります。
FHRをおすすめできる人・できない人

FHRは、誰にとっても万能な優待ではありません。
この制度は明確に「向き・不向き」が分かれます。
FHRをおすすめできる人
ホテル滞在そのものを重視する人
└ 部屋・食事・館内時間まで含めて「体験」として楽しみたい場合。
チェックアウト後の余白を確保したい人
└ 16時レイトチェックアウトの確約が行動計画に直結する人。
短期滞在・1泊でも満足度を最大化したい人
└ 記念日、都市滞在、移動前後の調整用途など。
ホテル上級会員資格を持たない、または管理したくない人
└ ステータス修行なしで一定水準を確保したい場合。
FHRをおすすめしにくい人
宿泊費の最安値だけを重視する人
└ 価格比較を最優先する場合、他の選択肢が向いている。
ホテルを「寝る場所」と割り切っている人
└ 朝食・館内利用・レイトチェックアウトを使わない場合。
地方・中価格帯ホテル中心の旅行が多い人
└ FHRはラグジュアリーホテル特化型のため対象外が多い。
FHRは「得か損か」で測る制度ではなく、
自分の滞在スタイルに合うかどうかで判断すべき優待です。
まとめ|FHRは「時間と体験」を買うための制度
Fine Hotels + Resorts(FHR)は、
単なる割引やポイント還元とは異なる発想で設計されたプログラムです。
朝食無料、100ドルクレジット、アップグレードといった特典は、
いずれも滞在中の判断や交渉を不要にするための装置にすぎません。
その本質は、
・チェックアウト時間を気にしない
・館内利用を迷わない
・滞在全体を「設計」できる
という状態を、予約時点で確保できる点にあります。
最安値を取りに行くなら、FHRは最適解ではありません。
一方で、ホテル滞在の失敗確率を下げたい人にとっては、
他に代替しにくい選択肢です。
アメックス・プラチナを保有しているなら、
FHRは「使えるかどうか悩む特典」ではなく、
使う前提で検討すべき代表的ベネフィットといえるでしょう。
FHRに関するよくある質問(FAQ)
FHRは誰でも利用できますか?
いいえ。FHRを利用できるのは、
アメリカン・エキスプレス・プラチナ・カード(本会員・家族会員)を保有している場合に限られます。
FHRは何泊から特典が適用されますか?
1泊から特典が適用されます。
朝食・ホテルクレジット・レイトチェックアウトなどは、原則として1滞在ごとに付与されます。
FHRはホテル公式サイトや他の予約サイトより安いですか?
必ずしも安くなるとは限りません。
FHRは最安値を狙うための制度ではなく、滞在体験を最適化するための制度です。
朝食や100ドルクレジットは必ず使えますか?
多くのホテルで利用できますが、
クレジットの対象(レストラン・スパ・ルームサービスなど)はホテルごとに異なります。
チェックイン時に利用条件を確認するのがおすすめです。
16時のレイトチェックアウトは本当に確約ですか?
はい。FHRの特典として確約されています。
空室状況やホテルの裁量に左右されるものではありません。
客室アップグレードは必ず受けられますか?
いいえ。アップグレードは空室状況次第です。
ただしFHR予約は優先度が高く、一般予約より期待値は高めです。
FHR対象ホテルは毎年同じですか?
いいえ。FHR対象ホテルは年度ごとに更新されます。
前年に対象だったホテルが外れる場合もあるため、
必ず予約時点での対象可否を確認してください。


