名古屋市熱田区にある熱田神宮は、名古屋観光の際にぜひ訪れたい歴史ある神社です。日本神話に登場する「草薙の剣(くさなぎのつるぎ)」を祀る場所として知られ、2,000年以上の歴史と深い信仰が今も息づいています。広大な境内では、厳かな空気の中でゆったりと参拝できるほか、自然や歴史建築も楽しめるのが魅力です。
私自身、初めて足を運んだときは、その静けさと荘厳さに心を打たれました。大楠の迫力や澄んだ空気、そして穏やかな参拝の流れが、日常から少し離れたような感覚を与えてくれました。神社内を歩いているうちに、自然と心が落ち着いていくのを感じたのを覚えています。
この記事では、アクセス方法・境内の見どころ・おみくじ体験など、実際に訪れて感じたポイントを中心にご紹介します。名古屋旅行や初詣、神社巡りを検討中の方にとって、参考になれば幸いです。
熱田神宮の概要と由緒

日本神話と皇室にゆかりのある神社
熱田神宮は、愛知県名古屋市熱田区に鎮座する、約1,900年の歴史をもつ神社です。
ご祭神は「熱田大神(あつたのおおかみ)」であり、これは天照大神が神剣「草薙の剣(くさなぎのつるぎ)」に宿った姿を指します。
この剣は「三種の神器」のひとつで、皇位継承の儀式(剣璽等承継の儀)にも登場する、日本において非常に重要な神宝です。
草薙の剣と日本武尊の伝承
熱田神宮の起源は、第12代景行天皇の皇子・日本武尊(やまとたけるのみこと)の物語にさかのぼります。
日本武尊は東国征討の際に数々の武勲を挙げましたが、その後亡くなり、愛する妃であった宮簀媛命(みやすひめのみこと)のもとに神剣「草薙の剣」が残されたと伝えられています。
宮簀媛命はその神剣を祀るため、熱田の地に社を建てたとされ、これが現在の熱田神宮の始まりとされています。
この伝承はあくまで史実ではなく口承に基づくものであり、文献記録は多くありませんが、神宮の信仰と文化的価値の深さを物語っています。
歴史的な位置づけと現代の姿
熱田神宮は、伊勢神宮・石清水八幡宮と並び「日本第三之鎮守」とも称されるほど格式高い神社です。
長い歴史の中で皇室や武家からも厚く信仰されており、現在も名古屋市内の重要な宗教・文化拠点として多くの参拝者を迎えています。
境内には樹齢1,000年を超えるとされる大楠をはじめとした巨木が立ち並び、季節ごとに異なる自然の表情も楽しめます。
その神聖で静かな雰囲気の中で、心を落ち着けて過ごすひとときを味わうことができます。
詳細な由緒や草薙の剣に関する情報は、熱田神宮公式サイトおよび 宮内庁公式ページの用語解説もあわせてご参照ください。
参拝の基本動線

熱田神宮の参拝は、一般的な神社と同じように「鳥居 → 手水舎 → 本宮」の順に進みます。本宮と大楠(おおくす)は位置が近いため、順番はどちらからでも構いません。境内は広く、初めて訪れる方でも迷いにくい配置になっています。
おすすめの時間帯
筆者が訪れたのは午前10時前でしたが、この時間帯は人も少なく、夏でも日差しがやわらかく涼しさが残っていました。朝の清々しい空気の中で歩く参道は、より一層神聖さを感じられます。正午前後になると観光客や団体参拝が増えるため、静かに参拝したい方は早めの時間をおすすめします。
境内の雰囲気と撮影ポイント
参道は木々に囲まれ、夏でも日陰が心地よく、空気はどこかひんやりと引き締まった印象です(筆者の主観です)。
本宮の撮影は、正面から近づくよりも、少し離れた位置から全景を収めると建物の美しさが引き立ちます。なお、撮影が許可されていないエリアや祭事中は撮影できない場合があるため、現地の案内板や係員の指示に従いましょう。
所要時間の目安
本宮と大楠のみであれば、15分程度で参拝できます。文化殿や草薙館などの施設も含めても、1時間以内で回れるでしょう。
ただし、鳥居から本宮までの参道は距離があり、特に夏場の日中は日差しや気温の影響を受けやすいため、帽子や日傘、飲み物の準備をおすすめします。
見どころガイド
本宮

熱田神宮の中心となる本宮には、ご祭神である熱田大神(あつたのおおかみ)が祀られています。熱田大神は、三種の神器のひとつ「草薙の剣(くさなぎのつるぎ)」を御霊代とする天照大神で、日本神話と皇室に深く関わる存在です。
社殿は伊勢神宮とほぼ同様の神明造りで、格式と威厳を感じさせます。明治26年までは尾張造りでしたが、三種の神器奉斎の社として改修されました。その後、昭和20年の戦災で被害を受け、昭和30年に再建。平成21年には創祀1900年の記念事業で造営等が行われています。
拝所は「外玉垣御門(とのたまがきごもん)」の前にあり、ここから御垣内を拝むと、一番奥に千木(ちぎ)と勝男木(かつおぎ)が見える本殿があります。垣は外玉垣・内玉垣・瑞垣の三重構造で、例祭など多くの祭典は外玉垣と内玉垣の間「中重(なかのえ)」で行われます。
筆者が訪れた午前10時頃でも、土日であれば参拝客は一定数いました。本宮を写真に収める際は、正面に近づくよりも少し離れた位置から撮影すると全景が美しく収まります。
大楠

南門(正門)から歩いて約5〜10分、手水舎の北側にそびえるのが樹齢1,000年を超えるといわれる大楠です。弘法大師のお手植えと伝えられ、熱田神宮を象徴する存在のひとつです。
筆者がこれまで見た中でも圧倒的な存在感で、幹は非常に太く、枝葉が大きく広がって周囲を覆う姿は、まるで自然の傘のよう。木の下に入ると守られているような感覚があり、神域ならではの静けさと力強さを感じました(体感)。
周囲は撮影スポットとしても人気ですが、参拝者が多い時間帯は混み合うため、朝のうちに訪れるとゆっくり鑑賞できます。
文化殿(宝物館)と草薙館

南門と本宮の中間に位置する文化殿(宝物館)は、昭和40年代に建てられた比較的新しい建物です。外観はシンプルながら、神宮の雰囲気に調和した落ち着きがあります。館内には国宝を含む約6,000点の宝物が収蔵され、神宝や祭具など、神宮の歴史と文化を物語る品々を間近で見ることができます。
文化殿の少し離れた場所には草薙館があり、こちらは刀剣を中心に約400点を展示。草薙の剣にまつわる刀剣や、日本刀の美術的価値に触れることができます。
どちらも比較的短時間で見て回れる割には、文化的価値の高い展示が多いのでおススメです。
料金は、共通拝観券で800円。(2025年8月時点)
筆者が訪れた際は文化殿が臨時休館、草薙館は時間の都合で入館できませんでした。展示内容や開館日・時間は変動するため、訪問前に公式サイトで最新情報をご確認ください。
おみくじ

熱田神宮のおみくじは、一般的な「番号→引換」方式ですが、引き方に少し特徴があります。まず筒を振って棒を一本引き、書かれた番号を覚えます。その後、近くの引換所で番号を伝え、200円を奉納しておみくじを受け取ります。
筆者が引いたのは「18番・大吉」。願望や方角など細かい項目のほか、神宮内の社の紹介も記されており、ただの運勢占い以上の学びがありました。体感としては、他の神社と比べて大吉の割合が特別高いわけではないようです。
神聖な空気の中で引くおみくじは、日常とは違う特別な意味を持ちます。訪れた際にはぜひ挑戦してみてください。
アクセスと所要・費用

熱田神宮へは、車と電車の2通りのアクセス方法があります。それぞれの特徴や所要時間、運賃の目安をまとめました(執筆時点:2025年8月/最新情報は公式案内をご確認ください)。
車で行く場合
神宮敷地内には、合計約400台収容可能な無料駐車場があります。休日や行事日には満車になることが多いため、早朝または夕方以降の利用がおすすめです。
近隣にはコインパーキングもありますが、台数は限られています。
高速道路を利用する場合は、名古屋高速3号線・堀田出口から約1km。国道1号線沿いに進み、右手に木々が広がる場所が見えたら熱田神宮です。
電車で行く場合
名古屋駅からはJR・地下鉄・名鉄の3路線が利用できます。所要時間・運賃・最寄駅は以下の通りです。
路線 | 所要時間 | 運賃 | 最寄駅 | 正門までの徒歩 |
---|---|---|---|---|
JR東海道本線 | 約8分 | 200円 | 熱田駅 | 約8〜10分 |
地下鉄名城線 | 約21分 | 270円 | 熱田神宮伝馬町駅 | 約5分(1番出口が最寄) |
名鉄名古屋本線 | 約6分 | 250円 | 神宮前駅 | 約3〜4分 |
※運賃・所要時間は2025年8月時点。最新情報は各鉄道会社の公式サイトをご確認ください。
路線ごとの特徴
- JR…新幹線で名古屋駅に到着した場合に便利。乗換改札を通るだけで利用でき、運賃も最安。ただし、停車するのは普通のみなので乗り間違えに気をつけてください。
- 名鉄…所要時間最短。神宮前駅は正門まで近いが、名鉄名古屋駅は構内が複雑で初見ではわかりにくい。JRと同じく、すべての列車が停車するわけではないので、気をつけてください。
- 地下鉄…運賃は高めで時間もかかるが、土日なら「土日エコきっぷ」で市内観光とあわせてお得。1番出口から正門まで徒歩約5分。名城線が最寄りの路線ですが、名港線行きに乗らないようにしてください。
徒歩動線と注意点
いずれの駅からも正門までは平坦な道ですが、夏場は日陰が少ない区間もあります。特にJR熱田駅からは途中で日差しを遮る場所が少ないため、帽子や日傘、飲み物を準備しておくと安心です。
正門から本宮までは参道を10分ほど歩くため、混雑時や炎天下では体力配分にもご注意ください。
モデルコース

ここでは、滞在時間に応じた90分コースと150分コースの例をご紹介します。季節や混雑状況によって所要は変わりますので、あくまで目安としてご覧ください。今回は夏以外の季節を前提にしています。
90分コース(短時間参拝)
- 正門(南門)から入場(0分)
木々に囲まれた参道を歩きながら手水舎へ。 - 手水舎で清める(5分)
- 本宮で参拝(15分)
朝10時前なら比較的空いており、落ち着いて参拝可能。 - 大楠を鑑賞(10分)
写真スポットとしても人気。周囲のベンチで小休憩。 - 文化殿(宝物館)または草薙館を見学(30分)
どちらか1館に絞ると無理なく回れる。 - 正門に戻る(10分)
このコースは参拝と1つの施設見学に絞るため、短時間でも熱田神宮の雰囲気を十分味わえます。
150分コース(じっくり滞在)
- 正門(南門)から入場(0分)
- 手水舎で清める(5分)
- 本宮で参拝(15分)
- 大楠を鑑賞(10分)
- 文化殿(宝物館)を見学(30〜40分)
- 草薙館を見学(30〜40分)
刀剣や草薙の剣にまつわる展示をじっくり鑑賞。 - 境内の静かなスポットを散策(15分)
例:別宮八剣宮、清水社など。 - 参集殿や境内の茶店で休憩(15〜20分)
抹茶や軽食で一息。 - 正門に戻る(10分)
文化殿と草薙館の両方を見学する場合は、1館あたり30分以上は確保したいところです。途中で休憩を挟むことで、ゆったりとした時間を過ごせます。
季節・混雑別の注意点
- 春・秋…参道の気温が穏やかで歩きやすい。行事日を避けるとより静かに回れる。
- 冬…朝は冷え込むため、防寒具を忘れずに。
- 夏…炎天下では参道や境内の移動が体力を消耗するため、コースを短縮し、冷房のある施設や茶店で休憩を多めに取るのがおすすめ。
周辺情報(寄り道スポット)

熱田神宮参拝とあわせて訪れやすい周辺スポットをご紹介します。いずれも正門から徒歩または公共交通でアクセスでき、短時間の立ち寄りにも向いています。
白鳥庭園(しろとりていえん)
正門から徒歩約15分(地下鉄熱田神宮西駅から1駅)に位置する、名古屋市最大級の日本庭園です。築山や池泉回遊式の園内は四季折々の花木が楽しめ、静かな散策に最適です。
入園料:大人300円(2025年8月時点)/休園日やイベントは公式サイトで確認できます。
七里の渡し跡
南門から徒歩約12〜15分。東海道の宮宿と桑名宿を結んだ渡船場跡で、当時の石碑や説明板が残ります。堀川沿いの遊歩道からもアクセスでき、歴史散策が楽しめます。
名古屋国際会議場
正門から地下鉄で約10分(名城線西高蔵駅下車)。イベントや展示会が行われる複合施設で、建築やホール内部の見学(イベント非開催時)が可能な場合もあります。公式サイトで開館状況を確認してください。
堀川沿い散策路
熱田神宮の西側を流れる堀川沿いには、整備された遊歩道があります。川面や船着場跡を眺めながら歩くことができ、観光客の少ない落ち着いた雰囲気が魅力です。
七里の渡し跡までの移動にも利用できます。
これらのスポットはすべて1時間以内で往復できるため、参拝後の余裕時間にあわせて組み合わせると効率的です。
初めて行く人のQ&A

Q1. 参拝時の服装はどのようなものが良いですか?
特別なドレスコードはありませんが、神社は神聖な場所ですので、露出の多い服装や派手すぎる装いは避けましょう。歩く距離が長いため、履き慣れた靴がおすすめです。
服装マナーや持ち物の考え方は、圓徳院の記事でも詳しく触れています。
Q2. 混雑を避けるには何時ごろ行けばいいですか?
朝10時前は比較的空いており、静かな参拝ができます。行事や七五三シーズンは午前早めをおすすめします。
静かな時間帯の過ごし方は、アメックス京都観光ラウンジの記事でも参考になるかもしれません。
Q3. 写真撮影は自由にできますか?
境内は撮影可能な場所が多いですが、本宮付近や祭事中は撮影禁止のエリアがあります。案内板や係員の指示に従ってください。
文化財や庭園の撮影マナーについては、生口島観光の記事でも紹介しています。
Q4. 周辺観光はどこがおすすめですか?
徒歩圏内では白鳥庭園や七里の渡し跡があります。時間があれば堀川沿いの散策もおすすめです。詳細は本記事の「周辺情報(寄り道)」をご覧ください。
Q5. 雨の日でも楽しめますか?
文化殿や草薙館など屋内施設があるため、雨天でも十分楽しめます。参道は石畳や砂利道の箇所があり、滑りやすくなるので注意してください。
まとめ
熱田神宮は、日本神話と皇室にゆかりのある歴史深い神社です。ご祭神・熱田大神と草薙の剣の伝承はもちろん、樹齢1,000年を超える大楠や文化殿・草薙館など、見どころが豊富にあります。
参拝の基本動線は「鳥居 → 手水舎 → 本宮 → 大楠」。午前10時前に訪れれば比較的静かに参拝でき、写真撮影もしやすい時間帯です。
アクセスはJR・地下鉄・名鉄の3路線や車が利用可能で、所要時間や正門までの距離も路線ごとに異なります。滞在時間に応じて90分コースや150分コースを選び、周辺の史跡や庭園への寄り道も楽しめます。
この記事が、初めて熱田神宮を訪れる方の参考になれば幸いです。最新の開館情報や行事予定は、必ず公式サイトをご確認ください。