iPhone 16 Proを購入してから、約1か月が経過した。
当初の印象から、実際に使い込むことで見えてきた良さや、逆に気になる点もいくつか出てきた。
やはりハイエンドスマホだけあって、基本性能には全く不満はないが、細かな仕様で気になる部分もある。
今回は、1か月間みっちり使ってみた上でのリアルな感想をまとめていく。
購入当初のレビューもあるので、ぜひ読んでほしい。
デザインと質感:使い続けるうちに慣れた「重さ」と進化した質感

iPhoneに関しては、全体的にデザインの評判が良いことは周知の事実だ。
使いやすいサイズ感や洗練されたUIなどは、実際に手に取って使ってみて初めてその良さが実感できる。
ただし、Proシリーズに限って言えば、軽くて剛性の高いチタニウム素材を採用しているとはいえ、実際にはかなり重い。
公称値で199gと、ほぼ200g。そこにケースや保護フィルムをつけると、簡単に200g超えになってしまう。
特にランニングなどのワークアウト中には、この重さが足かせになる。
そうした場面では、Apple Watchなどのスマートウォッチを使うのが現実的だ。
iPhone 16 Proを手に持って走るには重すぎるし、万が一落としたときの衝撃を考えると持ち歩かない方が無難。
私はまだスマートウォッチを持っていないが、現在購入を検討しているところである。
もっとも、この重さも使い続けるうちにだんだんと慣れてくる。
最初の数日は「ポケットがやけに重たいな」と感じたが、1週間もすればそれが日常の一部になっていた。
質感に関しては、普段はケースを装着しているため、触れる機会は少ない。
それでも、高級感は十分に伝わってくる。さすがはハイエンドモデルといったところで、「安っぽい」と感じる瞬間は一切ない。
唯一気になるのは、カメラ部分の出っ張りだ。
落としたときの衝撃を受けやすく、実際、私もヒヤリとした経験がある。
出っ張りの厚みは約1円玉2枚分ほどだが、これを守るためにケースはさらに分厚くなり、結果として全体の存在感が増している。
ここはもう少しどうにかしてほしかったというのが正直なところだ。
ディスプレイ:1か月使った後の「ProMotion」の魅力が再発見

iPhone 16 Proのリフレッシュレートは、最大で120Hzに対応している。
とはいえ、常に120Hzで動作するわけではない。状況に応じて自動的に調整される可変リフレッシュレートとなっている。
今では120Hz対応のスマートフォンは珍しくない。
正直、最初は「ああ、まあ普通かな」といった印象だった。
だが、iPhone 16 Proが本領を発揮したのは省電力モード時の動作だった。
iPhoneも例外ではなく、省電力モードではリフレッシュレートが60Hzに制限される。
以前使っていたGalaxy S23でも同様だったが、そのときは画面の追従性が明らかに悪くなっていた。
「ああ、省電力モードだし仕方ないな」とあきらめるレベルだった。
しかし、iPhone 16 Proは違った。
省電力モードでも滑らかさがまったく損なわれない。
最初、モードを切り替えたことに気づかないほどだった。
コントロールセンターを確認して、ようやく「あ、省電力モードだったのか」と気づくくらい、違和感がない。
指に吸い付くような操作感はそのまま。
個人的には、常時省電力モードでもまったく不便を感じないほど快適だと感じた。
ただし、画面のフェードアウトまでの時間は短くなるため、その都度Face IDでロック解除する必要がある点は少し手間に感じる。
ディスプレイの発色は非常に自然だ。
派手すぎず、でも鮮やかさはしっかりある。
輝度に関しては少し明るめの印象で、私は自動調整の設定からやや暗めに調整して使っている。
カメラ性能:1ヶ月後に感じたカメラの進化と実際の使用感

カメラ性能に定評のあるiPhoneシリーズ。
その最新モデルであるiPhone 16 Proも例外ではなく、撮っていて楽しい、と思える出来になっている。
1か月ほど使ってみたが、やはりハイエンドスマホならではのクオリティの高さを感じた。
旅行やイベントなど、大きな撮影の機会はまだ少ないものの、日常のふとした瞬間を切り取るには十分すぎる性能だ。
もちろん、一眼レフなどの本格的なカメラには敵わない部分もある。
それでも、思い出を記録するという目的には、まったく不満のないクオリティだと感じている。
特に便利だと感じたのが、新たに搭載された「カメラコントロールボタン」である。
従来のiPhoneでは、画面オフの状態からカメラを一発起動する手段がなかった。
Androidユーザーにとっては、電源ボタンを2回押してカメラを起動するのが当たり前だっただけに、やや不便に感じていた。
一応、iPhoneには「アクションボタン」があるが、設定が面倒だったり、存在に気づいていない人も多い。
その点、iPhone 16シリーズに追加されたカメラ専用ボタンは圧倒的に直感的だ。
ボタンを一度押すだけで、すぐにカメラが立ち上がる。
しかも、位置的にも押しやすく、持ち上げてそのままシャッターが切れる感覚が心地いい。
個人的には、Androidの「電源ボタン2回押し」よりもスムーズに感じる場面も多い。
このボタンのおかげで、シャッターチャンスを逃すことが減った。
「今撮りたい!」という瞬間に、すぐにカメラを起動できることの快適さは、一度使うと手放せなくなる。
さらに嬉しかったのは、望遠レンズが光学5倍になった点である。
これまでもiPhoneには光学3倍ズームがあったが、正直なところ「2倍のデジタルズームで十分では?」と思う場面も多かった。
そのため、3倍ではあまり違いを感じられず、使う頻度も少なかった。
一方で、5倍になると話は別だ。
街の風景や遠くの被写体を、画質を落とさずにしっかり撮れるのは大きな進化だと感じる。
個人的には、この5倍ズームの存在が、今回iPhone 16 Proを選んだ理由のひとつにもなっている。
カメラ性能の高さはもちろん、それをすぐに使える仕組みまで含めて「体験」だと感じさせてくれるiPhone 16 Pro。
カメラをよく使う人にとって、このモデルは一度触ってみる価値があると思う。
なお、カメラのレビューに関しては、SamsungのフラッグシップGalaxy S23と比較した記事もあるので、こちらも読んでほしい。
バッテリーの持ち:1日中安心して使えるバッテリーライフ

ハイエンドスマホというと、性能が高いぶんバッテリーの減りが早いという印象を持つ人も多いかもしれない。
実際、私も以前はそうだった。
しかし、iPhone 16 Proを1か月使ってみて、バッテリー持ちに関してはかなり好印象を受けている。
体感としては「ハイエンドの中ではかなり優秀」と言えるレベルだ。
特に助かるのが、省電力モードの優秀さだ。
ディスプレイのレビューでも触れたが、リフレッシュレートが落ちても操作の滑らかさはほとんど変わらない。
そのため、省電力モードにしてもストレスを感じずに使える。
当然ながら、このモードにするとバッテリーの持ちはかなり伸びる。
私のように日中スマホを頻繁に触らない社会人であれば、朝にフル充電しておけば、帰宅時も余裕がある。
「帰る頃には残量が心もとない…」ということがほとんどない。
また、iPhoneはバッテリー残量が少なくなってからの粘りがすごいと感じる。
これは、友人が使っている姿を見ていて気づいたことだ。
20%を切ってからが意外と長く、しばらく普通に使えていた。
Androidだと、100%からでもかなり減りが早かったので、これはけっこう驚きだった。
ただし、もちろんこれは重たいゲームや動画撮影など、ヘビーな使い方をしない前提での話である。
いわゆるレビュワーのような酷使をすれば、どんなスマホでもバッテリーは厳しくなる。
でも、LINEやSNS、Web閲覧、カメラなど、ライト〜ミドルな使い方であれば、残り10%でも「あと少しは持つな」と思える安心感がある。
また、iPhoneは長期間使ってもバッテリーが劣化しにくいという印象がある。
これは私の実体験ではないが、家族が数年間iPhoneを使っている様子を見て、そう感じている。
一方、Androidのハイエンド機は、バッテリーの減りが目に見えて早いことが多い。
以前使っていたGalaxy S23(6.1インチ)は、使い始めからバッテリーの持ちはそれほど良くなかった。
さらに、1年も経つと減りが加速し、朝100%から夕方には60%を切ることもざらにあった。
その点、iPhone 16 Pro(6.3インチ)では今のところそのようなことはない。
100%で家を出て、夕方に帰ってきても80%以上残っている日が多い。
これは安心感が大きい。
やはり、OSとチップセット、そしてハードウェアまでAppleが一貫して設計している強みがここでも出ているのだろう。
スペックでは見えにくい部分だが、使っていて「なんか減らないな」と感じられるバッテリー性能は、地味ながら大きな魅力の一つだ。
パフォーマンス:1か月使ってわかったその実力
パフォーマンスは非常に高い。
2024年に登場したスマートフォンの中でも、屈指の完成度を誇る一台だと感じる。
ソフトとハードの両面で、明確な弱点が見当たらない。
カメラでRAW形式などの高画質撮影をしても、処理速度は非常にスムーズだ。
保存やプレビューも待ち時間が少なく、ストレスを感じない。
1か月の利用レビューなので、本格的な検証まではできていない。
それでも、「原神」など負荷の大きいゲームを試してみたところ、設定を落とさなくても快適に動作した。
発熱もそこまで気になるほどではなかったのは嬉しいポイントだ。
通信品質については「まずまず」といった印象。
ただし、これは端末というより、使用している回線側の影響が大きいように思う。
私は楽天モバイルをメイン回線として使っているが、iPhone 16 Proにしてから、地下やオフィス街の昼間などでやや繋がりづらくなった場面があった。
以前の端末では問題なかった場所なので、端末との相性もあるのかもしれない。
バッテリーの持ちはすでに別記事でも書いた通り、非常に優秀だ。
日常的な使い方なら、1日フルで使っても残量に余裕がある。
また、ディスプレイのリフレッシュレートは最大120Hzの可変式となっている。
なめらかな表示と省電力を両立しており、スクロールやアニメーションが非常に滑らかだ。
さらに特筆すべきは、Apple製品間の連携のスムーズさである。
私は現在、iPhoneとiPadを使っているが、Apple IDを使った連携がとても自然で快適だと感じている。
例えば「スクリーンタイム」では、2つのデバイスの合計使用時間をまとめて確認できる。
複数のApple製品を使っている人にとっては、1つのアカウントで自分の行動を一括で把握できるのはかなり便利だ。
そして、AirDropの便利さも忘れてはいけない。
家族との写真や動画の共有が非常にスムーズで、数秒で大容量ファイルを送れるのは驚くほど快適だ。
LINEやクラウドを経由せずに済むので、画質も落ちないし手間もない。
加えて、Apple Payの使いやすさもiPhoneの強みの一つだ。
私自身、以前はGoogle Payを使っていたが、iPhoneにしてからはApple Payの快適さに驚かされた。
まず、NFCのオンオフを意識する必要がない。
端末をかざすだけで自然に反応してくれるのは本当に楽だ。
また、アプリがひとつにまとまっているのも便利。
Google Payでは、カード追加アプリやタッチ決済用の設定がバラバラだったが、Apple PayではWalletアプリ一つで管理できる。
そして何より、American Expressのカードにも対応している。
これはGoogle Payでは非対応のことが多く、Appleユーザーとしてのメリットを感じる部分だ。
このように、iPhoneは単なる高性能スマホというだけでなく、日常をちょっと便利にしてくれる仕組みが詰まっている。
ハードだけでなく、エコシステムとサービスの完成度を含めて「完成された端末」だと感じている。
気になった点と改善希望:使い続ける中で浮かび上がった小さな不満点

1か月使用で感じた不満点
基本的には非常に満足しているiPhone 16 Proですが、1か月使ってみて気になった点がいくつかある。今回は、特に「これはもう少し改善してほしい」と思った2点について紹介していく。
4G回線が安定しない
まず、通信に関する不満。これは端末そのものというより、使っている回線(私の場合は楽天モバイル)の影響もあると思う。
ただ、以前使用していたGalaxy S23では問題なかった地下鉄内や、オフィス街の昼休みなどで、iPhone 16 Proにしてからやや繋がりにくさを感じるようになった。
アンテナの感度や通信の最適化に、iPhoneならではのクセがあるのかもしれない。
個人的にはこれを好意的にとらえて、ちょっとしたデジタルデトックスの機会だと思うようにしている。
幸い、通勤にかかる時間はそれほど多くないので、致命的な欠点というわけでもない。
また、つながらない日とつながる日があるため、何が違うのかはよくわからない。
つながったときは「ラッキー」くらいに考えておくと、気も楽である。
日常的に屋外でデータ通信を多用する人は、回線との相性も含めて注意が必要だろう。
iPhoneと特定キャリアの組み合わせで、通信にクセを感じることがあるというのは、今回の使用で実感した点である。
Face ID後のスワイプが面倒
Face IDの精度とスピードは、さすがAppleといった印象だ。顔を向ければすぐに認証される。
さらに、2022年からはマスクを着用していてもロック解除ができるようになった。認証精度も高く、部屋の電気を消した状態でも問題なく認証できるため、かなり優秀な生体認証であると言える。
このように、Face IDそのものの完成度は非常に高い。しかし、使用体験の中で唯一気になる点がある。
それは、認証後に必ず「上にスワイプしないとホーム画面に入れない」という仕様だ。
Androidでは、顔認証後にそのままホーム画面に移行できる機種が多い。以前使っていたAndroid端末ではこの仕様だったため、iPhoneに戻ってからは毎回のスワイプ操作が少し手間に感じてしまった。
たとえば、満員電車の中や、寝転がって使っている時など、両手を使いづらい場面ではこのスワイプ操作が無駄に感じられる。
セキュリティ上の設計なのかもしれないが、ユーザー側でこの挙動をON/OFFで選べるようになれば、Face IDの快適さはさらに際立つはずだ。
現状でもFace IDは非常に完成された機能であるが、最後の一歩であるこの仕様が、地味ながらストレスになることも事実だ。
とはいえ、完成度は非常に高い
この2点以外には、大きな不満は特にない。
それだけハード・ソフトともにバランスの取れた仕上がりで、細かい部分で「あともう少しこうだったら完璧」というレベル。
今後のアップデートやOS側の改善で、より使いやすくなっていくことに期待している。
まとめ:1か月後の評価—買ってよかったか、もう少し迷っていた点は?
iPhone 16 Proを1か月使って実感したのは、デフォルトのままでも極めて完成度が高いという点だ。
処理性能やカメラ、バッテリーの持ち、ディスプレイの美しさまで、どれも高水準でバランスが取れており、特別な設定やカスタマイズを加えなくても満足のいく使用感が得られる。Appleが想定した使い方をそのまま受け入れるだけで、快適かつスマートな体験が手に入る設計だ。もちろん細かな不満や改善点も存在するが、それらも含めて「完成された道具」としての魅力が詰まっている。
長く使うことでその洗練された思想をさらに理解できる一台だと感じている。